小売業界で先進的にサステナビリティに取り組む企業として名高い、マークス&スペンサー。その活動は、実際にはどのような考えのもと、どのように行われているのかを掘り下げるべく、取材を行いました。 執筆:Sustainavision Ltd. 代表取締役 下田屋毅氏 / 店舗取材:2013年12月10日
M&SのCSR戦略として2007年に立ち上げられたのが「プランA」である。この中で同社は、100のコミットメント(約束)を、5年間で達成することをステークホルダーに提示した。現在は世界で最も持続可能なスーパーマーケットとなるという究極の目標を設定とともに、コミットメントを180に拡大、2015年までに達成するとしている。
また、プランAは、「Plan A Because there is no Plan B(プランA、プランB(代替案)はありません)」というキャッチフレーズとともに、プランAの本気度をステークホルダーに伝えている。
プランAは次の7つの柱から成り立っており、これらの柱の下に、20の大きな目標と180のコミットメントが設定されている。 (7つの各柱の下の説明は、活動の主要項目)
M&Sは、このプランAを達成するために、ステークホルダーとの対話を重視している。7つの柱の1つ目の「我々の顧客をプランAに巻き込む」に代表されるように、このコミットメントを達成する為に顧客や従業員、NGOなどステークホルダーへ伝え、協働によりプランAを実現していくことを明言している。
2013年版プランAレポートによると、マークス&スペンサーは既に180個のコミットメントのうち139個を達成、31個が計画どおり進んでおり、5個が計画より遅れ、4個が未達成、1個がキャンセルという状況である。コミットメントをしたものをしっかりと自己評価し、達成できたものや、自社の都合の良いものだけを報告するのではなく、プランAが計画どおり進んでいるもの、達成できていないもの、キャンセルについてはっきりとステークホルダーへ報告している。
M&Sでは、プランAに関する社内レポートを月1回発行、プランAが社内でどのように機能しているかをマネジメントに知らせている。プランAが2012/13期で、産出した純利益は、1億3千5百万ポンド(約229億5千万円)。
ストラットフォードシティ・サステナブル・ストアを訪問した際に感じたことは、プランAの教育が従業員へ徹底されていることで、従業員の日々の活動にプランAが統合されていたことである。
店舗の新入社員は、最初の4週間は、プランAのトレーニングプログラムを受ける、そして、その後5か月間のOJTを経て、プランAを理解した認定を受ける。プランAのアップデートは、イントラネットでセルフスタディをするとともに、店舗のスタッフはマネジャーからアップデートについて直接指導を受ける。プランAポケットガイドはスタッフ全員に配布されスタッフが実施するべき10項目が記載されている。