• Home
  • よりエコに、サステナブルに変わるパリの街 [4]

よりエコに、サステナブルに変わるパリの街

「エコ」だけではない服のリサイクル


パリでは、日本以上に服のリサイクルが身近な存在。状態は良いけれど、サイズや好みが変わって自分では着なくなった服は、教会でも回収しているし、街角には服専用の回収ボックスまである。回収ボックスを設置している団体の一つがle Relais。フランス国内の全回収量のうち、65%を担っている団体だ。パリ事務所のサミュエルさんが取材に応えてくれた。

「le Relaisは、世界41カ国に拠点を持つNGO『エマウス』が展開している事業の一つです。不要になった服を回収し、状態の良いものはフランス国内の店舗『Ding Fring』や、アフリカの関連施設で販売。リサイクルに適さない服も、建築材にするなど、回収した服のうち約9割は有効活用しています」。

サミュエル・イザムベールさん。le Relaisで仕事をして2年。以前は資産運用などに携わるビジネスマン。le Relaisに転職し、お金に対する考え方が変わった。「前職では人よりも『巨額のお金』のことを考えていた。でも今は、人のためにどこで、どうお金を使うべきかを考えています」。

フランス全土から集まる回収量は年間8万トン。1人あたりに換算すると年間11キログラムもの量になる。ここまで大規模ではないにしても、環境配慮を目的とした同じような活動は、日本でも最近よく聞かれる。でもle Relaisが他と大きく違うのは、服をリサイクルする過程で雇用を生み出していること。le Relaisでは、服を回収、仕分け、販売する作業などについて、様々な理由で定職に就いていない人を優先的に雇用している。「働きたい」という意志があれば、たとえ犯罪歴がある人でも、これまでの経験を問わずチャンスを提供する。必要があれば研修も行い、1984年の設立以来、約2,000人の雇用を創出してきた。

着なくなった服を回収してもらうと、それだけで何となく良いことをした気分になる。だけど、本当に大切なのはその先のはず。回収された後、どこでどう役立てられているのか、服の行方にまで目を向けたい。