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空飛ぶバスが生まれるバラ色の街

積み重なった歴史が見える赤レンガと石畳


空港から続く航空宇宙産業エリアを離れ、街の中心部に近づくと、トゥールーズは歴史的な側面を見せ始める。この地に最初の街ができたのは、紀元前3世紀。以来、ローマの植民地、西ゴート王国の首都、パステル(藍染料)の交易都市として栄えてきた。今も、旧市街に並ぶ赤い建物の中には、16世紀の豪商の館が残っている。さらに古いものでは、14世紀に建てられた美術館、13世紀に設立されたジャコバン修道院なども。細く入り組んだ石畳の先にのぞく赤い尖塔には、何百年も積み重ねてきた時の流れを感じさせるのに十分な厳かさがある。

街を行き交う人々を見ていると、若い学生が多いことに気づく。大学やグランゼコールが多いことから、パリ、モンペリエに次ぐフランス第3の学生都市でもあるのだ。学生もまた、フランスだけでなく世界中から集まってきている。また、学び終えた学生は活躍の舞台を求め世界中へ旅立っていく。ここにも、グローバルシティとしての一面がある。

トゥールーズの、産業とともに変化し、企業や教育機関のあり方とともにグローバル化していく姿は、フランスの今というよりも、欧州の都市の一歩進んだ姿であり、世界の都市の未来形の一つ、といえるのかもしれない。

トゥールーズには、かつて多くの施療院やキリスト教施設があり、貧しい人々や孤児、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼者を受け入れてきた


レザバトワール近・現代美術館

ガロンヌ川西岸にある19世紀のアバトワール(屠殺場)だった建物を利用した近・現代美術館。1950年代以降のアートの潮流を網羅する約2,000点の作品を所蔵するほか、ミディ・ピレネー地方のアーティストを紹介する企画展を行っている。地下展示室にあるピカソが制作した巨大な舞台幕「アルルカン(道化師)の服装をしたミノトールの遺体」は必見。

キャピトル・ド・トゥールーズ

1760年に完成したトゥールーズの市庁舎。絶対王政下のトゥールーズ市参事会「キャピトゥール」に由来して「キャピトル」と呼ばれる。「バラ色の街」らしい赤いレンガと白い石を組み合わせた壮麗な外観が特徴。2階の大広間にはトゥールーズの歴史を描いた壁画や天井画が広がる。キャピトル広場のカフェは、市民の憩いの場。夜間のライトアップされた姿も美しい。

VeloToulouseでサイクリング

パリではすでに市民の足として、またユニークな観光手段として定着しているレンタル自転車「Velib'(ヴェリブ)」ですが、トゥールーズにも「VeloToulouse(ヴェロトゥールーズ)」という同じようなコミュニティ・サイクル・システム(街中にあるパーキングで自由に自転車のレンタル・返却ができるシステム)があります。 使い方はヴェリブと同じで、市内には約250カ所のパーキングがあります。1日券は1.2ユーロ。細い道が入り組んだ市街観光にも、ガロンヌ川沿いのサイクリングにもぴったりなので、見かけたらぜひ乗ってみて。 ほかにロレーヌ地方のナンシー、ローヌ・アルプ地方のリヨンでもレンタル時自転車が普及しています。