ユニリーバには、サステナビリティと事業成長を両立させる強固なビジネスモデルがあり、限りある資源を最大限活用し、再生させながら、持続的なビジネス成長を図る、サーキュラーエコノミーを目指している。
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同社のサステナビリティの取り組みは、実際に事業成長につながっているのか?それを証明する、具体的な数字がある。
ユニリーバでは、USLPの目標に1つ以上貢献し、「持続可能な暮らしの実現」を目的として掲げるブランドを、「サステナブル・リビング・ブランド」として位置づけている。具体的には、ベン&ジェリーズ、ダブ、コンフォート、ライフボーイなどがあるが、これらブランドの成長率は、平均を上回る5〜10%以上(2012〜2014年の3年間のデータ)。これはユニリーバが展開する他ブランドの2倍以上の成長率であり、2014年度の数字を見ると、サステナブル・リビング・ブランドの製品が、企業成長の50%を占めていることになる。
また省エネ、省資源、資源のリサイクル・再生の取り組みについていえば、2008年〜2015年の累積で、実に6億ユーロものコスト削減を実現している。
さらに、人々が求める変化を、サステナブルなイノベーションで実現することは、新しい市場の開拓にもつながっている。具体的な例として、東南アジアにおける洗剤の展開がある。東南アジアでは、服をバケツに入れ手で洗うのが一般的だが、手洗いには、水も時間も多く使用する。通常、すすぎにバケツ3杯分の水を使用するところ、ユニリーバの仕上げ剤「Comfort One Rinse」ならバケツ1杯に削減が可能。これなら、単純に水の量だけではなく、女性たちが洗濯に費やす時間、労力も大幅に削減できる。2007年に立ち上げたこのブランドは、東南アジアでのシェアを広げ、1.2億ユーロ規模のビジネスに成長している。
ベトナムでの展開を紹介する動画
製品を開発、販売するだけではなく、人々に習慣を変えてもらえるよう働きかける必要もある。ベトナムでは、1回の洗濯でバケツ3杯の水を使用する習慣から、バケツ1杯の習慣に変えてもらうために、製品の効果が体感できるイベントや、CMを展開。 |
気候変動や急激な都市化、中級階層の拡大など、世界の動向は刻々と変化している。ユニリーバでは、こうした世界規模の変化、潜在的なリスクの対応にも、USLPを基本に対応しているという。
2010年に掲げたオリジナルの目標達成に取り組むのと同時に、世界の動向に合わせて、新たなコミットメントを追加。常に、ビジネスに影響を及ぼし得る変化を見極め、潜在的なリスクを特定し、問題が顕在化する前に対応することを目指している。
例えば、あらゆる業界でさらなる配慮が求められる人権に関しては、2010年の時点では無かった多くの目標が追加されている。人権尊重を強化するために、人権問題について25年のキャリアを有する人材を招致し、一から目標や行動計画を構築。そして2015年には、国連が策定した人権に関する包括的な報告フレームワーク(UN Guiding Principles Reporting Framework)を適用した報告書「Unilever Human Rights Report 2015」を、他社に先駆けて世界で初めて発行している。
USLPを基盤に、事業とサステナビリティを統合させたユニリーバ。
後半では、その背景にある社内体制、社内外へのエンゲージメントについてレポートします。