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ユニリーバが、サステナビリティ分野の巨人になった理由
【前半】事業とサステナビリティ、統合への10年戦略

2010年に頭角を現して以来、サステナビリティ業界を牽引し続けるユニリーバ。その軌跡と現在について、イギリス本社で取材をしました。(2016/10/14更新)

ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン構築の軌跡


今でこそサステナビリティ分野の先進企業として、誰もが認める存在のユニリーバ。ただ、10年前の評価は、現在とは全く異なるものだった。1990年代のCSR業界といえば、石油、化学系の大企業に評価が集まっていたのに対し、2010年前後より、B to C企業が台頭。その中でもユニリーバは、2010年に発表した「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」(USLP)を機に躍進。GlobeScanとSustainAbilityによる最もサステナブルな企業を問う調査を見ると、同社は2010年より一気に評価を高め、2016年の最新の調査では、2位以下に圧倒的な差を付けた6年連続の1位にランクインしている。これほど高い評価を得ているユニリーバの背景には、どんなストーリーがあるのか? イギリス本社への取材レポート第一弾。

ユニリーバにおけるサステナビリティの位置づけ

「小さいものや小さな行動にも、暮らしを変え、より良い明日を創る力がある」。
これは、150年前の創業当時からユニリーバに受け継がれている信念だ。つまり、サステナビリィの概念は、ポール・ポールマン氏のCEO就任(2008年)のはるか昔から、同社に根付いたものだった。ただ、それぞれの部門がそれぞれの社会課題に対して取り組んでいる状態で、会社全体として体系的にはまとまっていなかったという。積極的に取り組む調達部門がいる一方で、そうではないマーケティング部門もいる。意識や活動内容に差がある状態だった。

このように、部門ごとに行っていた取り組みを、体系的に一つにまとめ、会社全体としての方向性を示し、構造的に展開できるようにしたのが、2010年より展開しているUSLPだ。

2010年、「環境負荷を減らし社会に貢献しながらビジネスを2倍にする」というビジョンの下、2020年をターゲットに、3つの目標を掲げたUSLPを構築。

2020年までの3つの目標

(1)10億人以上の健やかな暮らしを支援
(2)環境負荷を1/2に
(3)数百万人の経済発展に貢献

ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン(USLP)

事業戦略と別にサステナビリティ戦略を立てるのではなく、両者を統合。3つの大きな目標のもと、数値目標を伴う具体的な目標が、食料、飲料、パーソナルケア、ホームケアなどの各カテゴリーやブランド、R&D、サプライチェーン、マーケティングなどの事業戦略、さらに人事・評価に組み込まれている。