300年先の海のために。海洋プラスチック問題

cross point 2024年1月30日

1年に800万トン、ジェット機5万機分のプラスチック

「海洋プラスチック」という言葉を知っていますか?

現在、世界中の海に流れ出したプラスチックゴミによって海が汚染され、生物に影響を与えており、深刻な問題になっているのです。

プラスチックは、ペットボトルから文房具、商品パッケージ、自動車、洋服に至るまで、私たちの生活のあらゆる場面で利用されています。そのプラスチックの多くが「使い捨て」にされ、適切に処理されないままさまざまな形で地球環境に流出しています。プラスチックは、捨てられた場所から土を通り川を経て、ほとんどが海に行き着きます。これが「海洋プラスチック」となり、既に世界の海には1億5,000万トンのゴミがあると言われています。

さらに驚くことに、毎年800万トンものゴミが新たに流入し続けているのです。これは、1分間にゴミ収集車1台分、年間の量を重さで換算するとジェット機5万機分に当たります。

2050年には海洋プラスチックゴミの量が、海にいる魚を上回る

これだけの大量のプラスチックゴミが、海とそこに住む生物たちに影響を与えないはずはありません。既に、ストローが刺さった写真で海洋プラスチック問題を世に知らしめるきっかけになったウミガメをはじめ、魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物など、約700種もの生物が傷つけられたり死んだりしているのですが、例えば漁網に絡まったり、ポリ袋を餌と間違えて食べてしまうなど、その90%以上がプラスチックの影響です。

「プラスチックはわかるけれど、マイクロプラスチックとは何?」と思う方もいるかもしれません。街から出たプラスチックゴミは海に流れ込んだ後、波に砕かれたり、紫外線で分解されたりして、小さなプラスチック片となります。マイクロプラスチックとは、5mm以下の微細なプラスチックゴミの総称です。洗顔料や歯磨き粉にスクラブ剤として広く使われてきたプラスチック粒子や、プラスチックの原料として使用されるペレット、合成ゴムでできたタイヤの摩耗やフリースなどの合成繊維の衣料の洗濯等によっても発生します。マイクロプラスチックそのものについては、有害性が明らかになっているわけではありませんが、製造の際に化学物質が添加されたり、プロセスで化学物質が吸着したりすることで、有害物質が含まれていることもあります。

世界経済の未来を考えるダボス会議でも、環境に影響を与える持続可能とは言えない経済成長を目指す限り、この海洋プラスチックの問題は今後さらに拡大し、「2050年にはプラスチック生産量はさらに約4倍となり、それに応じた海洋へのプラスチック流出の拡大により、海洋プラスチックゴミの量が海にいる魚を上回る」という予測が発表され、世界を驚愕させました。

海のために、私たちができることは?

プラスチックゴミの問題を解決するために必要なことの基本は、いわゆる3Rです。

リデュース(Reduce)=ゴミの総量を減らすこと

リユース(Reuse)=再利用すること

リサイクル(Recycle)=再生産に回すこと

とりわけプラスチック生産、使用量の多い日本の場合、まず重要となるのは作る量と使う量を減らすことです。 廃プラスチックの約半分を占める「使い捨て容器等のプラスチック」を減らせば、直接的な使用量を減らすことになるのです。使い捨てプラスチックの代表格であるレジ袋の使用規制は日本を含む50か国以上で始まり、課税・有料化を決めた国を含めると60か国にのぼるなど、世界は既に脱プラスチックに向けた取り組みを加速しています。

100%海洋ゴミから作られたリユーザブルバッグ

このような状況の中、世界では海洋ゴミを減らすことを目的としたさまざまなビジネスが生まれています。その一つが、KEEP COOL BAG USA というアメリカ発の会社の取り組みです。バッグは私たちの日常生活に欠かせないものです。しかし、使い捨てバッグの過剰な廃棄は、私たちの環境に計り知れない損害を与えています。ビニール袋たった1枚でも、自然界で分解するには100年から300年の時間がかかると言われています。KEEP COOLBAG USAの製品は、使い捨てでないリユーザブルのエコバックなのですが、ユニークなのは原材料。なんと、海から回収された海洋ゴミ100%の素材から作られており、一つのバッグでペットボトル3本分の海洋プラスチックを減らすことができるのです。

KEEP COOL BAG USAは、バッグというシンプルながら必要不可欠なアイテムを中心に、毎日の買い物で消費者の行動を変えるという明確な目的を持って、グローバルなビジネスを構築してきました。1999年の創業以来、世界で150社以上のパートナーに8,000万枚以上の再利用可能なバッグを提供。バックを使うことで、消費者の意識を変え、すべての生活の中で、環境に対する考え方を浸透させていくことを目指しています。

Message from KEEP COOL BAG USA

持続可能な未来のために、私たちができること

私たちのビジョンは、世界中のすべての買い物客が環境に対する危機を認識し、行動を変えることです。消費者が再利用可能なバッグへ変えることは、環境にプラスの影響を与える可能性が非常に大きいからです。より多くの方が、再利用可能なバッグに切り替えることができれば、私たちの取り組みが買い物に革命を起こすことができるのです。

私たちは「リデュース、リユース、リサイクル」の考え方を強く支持しており、このライフスタイルをサポートする役割を担うことを目指しています。私たちは、プラスチック製、紙製を問わず、使い捨てバッグの使用を控えることを提唱しています。100%海洋プラスチックのバッグによって、日常生活においてより意識的な選択をするための一歩を踏み出せるようにしたいと考えています。小さな行動でも、積み重ねれば地球にとって持続的可能な未来を実現する大きな力になると信じています。

Pierre Barlier
CEO 兼 創業者

New arrival

lorient(ロリアン)

ブルターニュに翻る光の旗。港町に差す、兆しの航跡を束ねて 世界が、強くざわめいている。暗く長いトンネルに立ちすくむ影と、光が導く少しの良い兆し。 コロナ禍で立ちすくんでいた場所から、私たちもそろそろ、動きださなければなら […]

2025年3月13日
Val-d'Oise(ヴァル=ドワーズ)

アートの社会の交差点から見えた未来。小さな森の、無限の楽園 そこに楽園があると聞き、パリ市内から車で1時間ほどの城跡を目指す。景色は郊外の風景に変わり、やがて緑の方が多くなってくる。その楽園は名をLa Source Ga […]

2025年2月25日
食を通じて子どもたちに“笑顔”を届ける

ベトナムの栄養・健康課題にアプローチする、森永乳業の幼稚園給食支援プログラム 近年、大きな経済発展を遂げているベトナム。右肩上がりに人口が増え、平均年齢は30代前半と若く女性の就業率が高いなど、世界でも高い成長力を示して […]

2025年2月25日
大商人になるために、悪代官へのプレゼント“山吹色のお菓子”は必要か?

「越後屋、そちも悪よのう」 のセリフでお馴染み。 悪代官にワイロを贈る悪徳商人は、時代劇の定番キャラクターです。 金の小判を“山吹色のお菓子”と表現するような悪徳商人が、本当にいたのどうかはわかりませんが、実際のところ商 […]

2025年1月31日